n8nとMake(旧Integromat)は、どちらも人気のワークフロー自動化ツールです。「Zapierは高いからn8nかMakeを検討している」という方も多いでしょう。この記事では、n8nとMakeの違いを料金・機能・使いやすさの観点から徹底比較し、あなたに合ったツール選びをサポートします。
結論:n8nとMakeの選び方
最初に結論をお伝えします。
| こんな方には | おすすめ |
|---|---|
| コストを最優先したい | n8n(セルフホスト) |
| セキュリティ要件が厳しい | n8n(セルフホスト) |
| 複雑な処理・大量データを扱う | n8n |
| 手軽に始めたい・設定が苦手 | Make |
| 非エンジニアがメインで使う | Make |
| エラー処理を細かく設定したい | Make |
両ツールとも優秀ですが、「誰が」「何を」「どのくらいの規模で」自動化するかによって最適解が変わります。以下で詳しく解説します。
n8nとMakeの基本情報
まず、両ツールの概要を確認しましょう。
n8nとは
n8n(エヌエイトエヌ)は、2019年にドイツで開発されたオープンソースのワークフロー自動化ツールです。「nodemation」の略で、ノード(node)と自動化(automation)を組み合わせた造語です。
最大の特徴は「フェアコード」ライセンスを採用しており、セルフホスト(自分のサーバーで運用)すれば無料で使える点です。クラウド版も提供されています。
Makeとは
Make(メイク)は、旧Integromatとして知られるチェコ発のワークフロー自動化ツールです。2022年にMakeにリブランディングされました。
クラウドベースのSaaSとして提供され、視覚的に分かりやすいUIと充実したエラーハンドリング機能が特徴です。セルフホストには対応していません。
料金比較:課金モデルの違いに注目
n8nとMakeでは、料金の考え方が根本的に異なります。この違いを理解することが、コスト試算の鍵になります。
課金単位の違い
| ツール | 課金単位 | 考え方 |
|---|---|---|
| n8n | 実行(Execution) | ワークフロー全体で1回 |
| Make | オペレーション | 各モジュール(ステップ)ごとに1回 |
この違いは、複雑なワークフローほど大きな差を生みます。
具体例:100件のデータを5ステップで処理する場合
- n8n:1実行(ステップ数・データ量は関係なし)
- Make:500オペレーション(100件×5ステップ)
つまり、n8nは「ワークフローを何回動かしたか」で課金され、Makeは「処理を何回行ったか」で課金されます。複雑な処理や大量データを扱う場合、n8nの方がコスト効率が良くなります。
料金プラン比較(2025年時点)
n8n Cloud
| プラン | 月額(年払い) | 実行数/月 |
|---|---|---|
| Starter | €20(約3,300円) | 2,500回 |
| Pro | €50(約8,200円) | 10,000回 |
| Enterprise | 要問合せ | カスタム |
※すべてのプランでワークフロー数・ユーザー数・ステップ数が無制限
Make
| プラン | 月額(年払い) | オペレーション/月 |
|---|---|---|
| Free | 無料 | 1,000回 |
| Core | $9(約1,400円) | 10,000回 |
| Pro | $16(約2,500円) | 10,000回〜 |
| Teams | $29(約4,500円) | 10,000回〜 |
コスト試算の具体例
シナリオ:毎日100件のデータを5ステップで処理(月3,000回実行)
- n8n Cloud Starter:月3,000実行 → €20で対応可能
- Make:月15万オペレーション(3,000回×5ステップ×10件平均)→ Proプラン以上が必要
シナリオ:シンプルな2ステップ処理を月500回実行
- n8n Cloud Starter:月500実行 → €20
- Make Free:月1,000オペレーション(500回×2ステップ)→ 無料で対応可能
シンプルな処理が中心ならMakeの無料プランで十分な場合もあります。複雑な処理が多いならn8nが有利です。
セルフホストという選択肢
n8nにはセルフホスト版(Community Edition)があり、これを使えばn8n自体は完全無料です。必要なのはサーバー代のみで、月500〜2,000円程度から運用できます。
Makeにはセルフホスト版がないため、この選択肢はn8n独自の強みです。
機能比較
次に、機能面の違いを見ていきましょう。
対応サービス数
| 項目 | n8n | Make |
|---|---|---|
| 対応サービス数 | 1,100以上 | 1,800以上 |
| カスタム連携 | HTTP Request / カスタムノード作成 | HTTP / カスタムアプリ作成 |
対応サービス数はMakeの方が多いですが、両ツールともHTTP Requestを使えばAPIがある任意のサービスと連携できます。主要なサービス(Google、Slack、Microsoft、Notion、Airtableなど)は両方で対応しています。
エラーハンドリング
エラー処理の機能はMakeが充実しています。
Make
- Ignore:エラーを無視して続行
- Resume:代替値を使って続行
- Commit:エラー前までの処理を確定
- Rollback:処理を巻き戻し
- Break:エラーを保存して後で再実行
n8n
- Error Triggerノードでエラー時の処理を定義
- カスタムエラー処理をJavaScriptで記述可能
- リトライ設定
Makeは視覚的にエラー処理を設定でき、非エンジニアでも扱いやすい設計です。n8nはより自由度が高いですが、設定には技術的な理解が必要です。
AI連携
両ツールともChatGPT、Claude、Geminiなどの生成AIとの連携に対応しています。
n8nは2025年に「AIエージェント」機能を強化しており、複数のAIモデルを組み合わせた高度なワークフローを構築できます。Makeも各種AI APIとの連携が可能ですが、n8nの方がAI関連の機能開発に力を入れている印象です。
データ処理能力
| 項目 | n8n | Make |
|---|---|---|
| JSONデータの加工 | ◎(JavaScript使用可) | ○ |
| 条件分岐 | ◎ | ◎(Router機能) |
| ループ処理 | ◎ | ◎(Iterator/Aggregator) |
| カスタムコード | ◎(JavaScript/Python) | ○(一部対応) |
n8nはFunctionノードでJavaScriptを自由に書けるため、複雑なデータ変換も柔軟に対応できます。Makeも十分な機能を持っていますが、カスタムコードの自由度ではn8nが上回ります。
使いやすさ比較
実際の操作感も重要なポイントです。
UI・操作性
n8n
- フローチャート形式でノードをつなげる
- JSONデータの流れを意識した設計
- 開発者寄り(ローコード寄り)のUI
- 各ノードの出力を詳細に確認できる
Make
- 円形のモジュールを線でつなぐビジュアルUI
- カラフルで直感的なデザイン
- 非エンジニアでも使いやすい設計
- データマッピングが分かりやすい
MakeはUIの分かりやすさに定評があり、初心者や非エンジニアが使いやすい設計です。n8nは機能的ですが、データ構造(JSON)の理解があると使いこなしやすくなります。
学習コスト
| 項目 | n8n | Make |
|---|---|---|
| 初心者の習得 | やや難しい | 比較的簡単 |
| 日本語ドキュメント | 少ない | 少ない |
| テンプレート | 1,700以上 | 1,000以上 |
| コミュニティ | 活発(英語中心) | 活発(英語中心) |
どちらも日本語情報は限られていますが、両ツールとも公式テンプレートが充実しているため、それをベースにカスタマイズする形で学習を進められます。
導入の手軽さ
Make:アカウント登録だけですぐに使い始められます。インフラ管理は不要です。
n8n Cloud:Makeと同様、アカウント登録だけで利用開始できます。
n8n セルフホスト:サーバーの用意、Docker等でのインストール、設定が必要です。技術的な知識がある程度求められます。
セキュリティ・データ管理
機密性の高いデータを扱う場合、セキュリティは重要な検討事項です。
データの保管場所
| ツール | データ保管 |
|---|---|
| n8n セルフホスト | 自社サーバー内(完全コントロール可能) |
| n8n Cloud | n8n社のクラウド |
| Make | Make社のクラウド(AWS) |
社内ポリシーで「データを外部クラウドに出せない」という要件がある場合、n8nのセルフホスト版が唯一の選択肢になります。
セキュリティ認証
- n8n:SOC 2準拠(Cloud版)
- Make:SOC 2 Type II、GDPR準拠、ISO 27001準拠
Makeはセキュリティ認証の取得実績が豊富です。n8n Cloudもエンタープライズ向けにセキュリティ機能を強化しています。
ユースケース別おすすめ
具体的なユースケースごとに、どちらが向いているかを整理します。
n8nがおすすめのケース
1. 大量データの定期処理
毎日数百〜数千件のデータを処理する場合、n8nの「実行単位」課金が有利です。ステップ数やデータ量に関係なく1実行でカウントされるため、コストを予測しやすくなります。
2. 複雑なデータ加工が必要
JavaScriptで自由にデータを加工したい場合、n8nのFunctionノードが強力です。正規表現での文字列処理、複雑な条件分岐、外部ライブラリの利用なども可能です。
3. セキュリティ要件が厳しい
「データを社外に出せない」という要件がある場合、セルフホスト版のn8nが唯一の選択肢です。自社サーバー内で完結するため、データの流出リスクを最小化できます。
4. 長期的なコスト削減を重視
セルフホスト版を使えば、n8n自体は無料です。サーバー代(月500〜2,000円程度)のみで運用でき、実行数も無制限です。
Makeがおすすめのケース
1. すぐに始めたい・インフラ管理したくない
アカウント登録だけで即日利用開始できます。サーバー管理やアップデート対応などの手間がかかりません。
2. 非エンジニアが中心に使う
直感的なUIとビジュアルなエラーハンドリング機能により、技術的なバックグラウンドがなくても使いこなしやすい設計です。
3. シンプルな自動化が中心
「フォーム送信→Slack通知」「メール受信→スプレッドシート記録」といったシンプルな連携であれば、Makeの無料プラン(月1,000オペレーション)で十分対応できます。
4. 堅牢なエラー処理が必要
Makeのエラーハンドリング機能(Resume、Rollback、Breakなど)は視覚的に設定でき、本番運用での安定性を確保しやすい設計です。
両ツールの併用という選択肢
n8nとMakeは、併用することも可能です。Webhookを使えば、両ツール間でデータを受け渡せます。
例えば、以下のような使い分けが考えられます。
- シンプルな通知系はMakeで処理(UIが使いやすい)
- 複雑なデータ処理はn8nで処理(コスト効率が良い)
- 既存のMakeシナリオはそのまま、新規の高度な処理はn8nで構築
既にどちらかを使っている場合でも、すべてを移行する必要はありません。用途に応じて使い分けることで、それぞれの強みを活かせます。
よくある質問
Q. Zapierと比べてどうですか?
A. Zapierは最も使いやすいですが、料金が高めです。n8nとMakeはどちらもZapierより低コストで、より複雑な処理に対応できます。詳しくはをご覧ください。
Q. 日本語対応していますか?
A. 両ツールともUIの日本語化は部分的です。公式ドキュメントやコミュニティは英語中心ですが、ブラウザの翻訳機能で問題なく利用できます。
Q. どちらを先に試すべきですか?
A. 技術的なバックグラウンドがある方はn8n、そうでない方はMakeから試すのがおすすめです。両方とも無料で試せるので、実際に触って比較してみてください。
Q. 既存のZapierから移行できますか?
A. 直接のインポート機能はありませんが、同等のワークフローを再構築することは可能です。テンプレートを活用すれば、ゼロから作るより効率的に移行できます。
Q. AIとの連携はどちらが優れていますか?
A. 2025年時点では、n8nがAIエージェント機能の開発に力を入れており、複雑なAI連携ではn8nが有利です。シンプルなAI連携であれば両ツールとも問題なく対応できます。
まとめ
n8nとMakeは、それぞれ異なる強みを持つワークフロー自動化ツールです。
n8nを選ぶべき人
- コストを最優先したい(セルフホストで無料運用可能)
- 複雑な処理・大量データを扱う
- セキュリティ要件が厳しい
- 技術的なカスタマイズをしたい
Makeを選ぶべき人
- 手軽に始めたい・インフラ管理したくない
- 非エンジニアがメインで使う
- シンプルな自動化が中心
- 堅牢なエラー処理を視覚的に設定したい
どちらも無料で試せるので、まずは実際に触ってみることをおすすめします。
n8nの始め方については、で詳しく解説しています。

