n8nをローカルPCにインストールすれば、無料でワークフロー自動化を試せます。クラウド版の月額費用を気にせず、じっくり学習したい方に最適です。
この記事では、Docker Desktopを使った最も簡単なインストール方法を解説します。コマンド操作が苦手な方でも、画面の指示に従って進めるだけで、5分程度でn8nを起動できます。
n8nローカル版とは?クラウド版との違い
n8nには「クラウド版」「セルフホスト版(VPS)」「ローカル版」の3つの導入方法があります。それぞれの特徴を確認しましょう。
| 項目 | クラウド版 | セルフホスト版(VPS) | ローカル版 |
|---|---|---|---|
| 月額費用 | €20〜(約3,000円〜) | VPS代(500〜1,500円) | 無料 |
| 常時稼働 | ○ | ○ | ×(PC起動中のみ) |
| Webhook受信 | ○ | ○ | △(ngrok等が必要) |
| セットアップ難易度 | 簡単 | やや難しい | 簡単 |
| 推奨用途 | 本番運用 | 本番運用 | 学習・テスト |
ローカル版の最大のメリットは費用が0円であることです。ワークフロー数や実行回数の制限もないため、n8nの機能を存分に試せます。
ただし、PCをシャットダウンするとn8nも停止するため、常時稼働が必要な本番運用には向きません。まずはローカル版で基本を学び、本格運用時にVPSやクラウド版へ移行するのが一般的な流れです。
インストールに必要な環境
n8nをDockerでローカル実行するには、以下の環境が必要です。
対応OS
- Windows 10 Pro/Enterprise(ビルド19041以上)またはWindows 11
- macOS 10.15 Catalina以降
- Linux(Ubuntu 20.04以降推奨)
Windows 10 Homeでも、WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)を有効化すれば利用できます。
推奨スペック
| 項目 | 最低要件 | 推奨スペック |
|---|---|---|
| メモリ | 4GB | 8GB以上 |
| ストレージ | 10GB以上の空き | 20GB以上 |
| CPU | デュアルコア | 4コア以上 |
一般的なビジネス用PCであれば問題なく動作します。
Step 1:Docker Desktopのインストール
まず、Dockerをインストールします。Dockerは「仮想的なアプリ環境を作るツール」です。n8nを直接PCにインストールせず、安全に動作させることができます。
Dockerのダウンロード
Docker公式サイト(https://www.docker.com/products/docker-desktop/)にアクセスし、お使いのOSに合ったDocker Desktopをダウンロードします。
Windowsの場合は、AMDまたはARM64のどちらかを選択します。一般的なPCはAMD64(x64)を選んでください。ARM64は一部のSurface ProやARM搭載ノートPC向けです。
インストール手順
ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従って進めます。
Windowsの場合、インストール中に「Use WSL 2 instead of Hyper-V」というオプションが表示されたら、チェックを入れたままにしてください。Windows 10 Homeユーザーは、この設定が必須です。
インストールが完了したら、PCを再起動します。再起動後、Docker Desktopが自動的に起動します。
Docker Desktopの起動確認
Docker Desktopを起動すると、タスクバー(Windowsの場合)またはメニューバー(macOSの場合)にクジラのアイコンが表示されます。
初回起動時にサービス規約への同意を求められる場合があります。内容を確認して同意してください。
Windowsユーザーで「WSL 2 installation is incomplete」というエラーが表示された場合は、表示される指示に従ってWSL2をアップデートしてください。
Step 2:n8nのインストール(Docker Desktop GUI版)
Docker Desktopを使った最も簡単なインストール方法を紹介します。コマンドを入力する必要はありません。
Volumeの作成(データ永続化)
最初に、ワークフローやデータを保存するための場所(Volume)を作成します。この設定をしないと、n8nを再起動したときにデータが消えてしまいます。
Docker Desktopを開き、左側のメニューから「Volumes」を選択します。右上の「Create」ボタンをクリックし、Volume名に「n8n_data」と入力して作成します。
n8nイメージのダウンロード
左側のメニューから「Images」を選択します。上部の検索バーに「n8n」と入力し、表示される「n8nio/n8n」の右側にある「Pull」ボタンをクリックします。
ダウンロードには数分かかる場合があります。完了すると、Imagesの一覧に「n8nio/n8n」が表示されます。
コンテナの起動
ダウンロードしたイメージの右側にある「Run」ボタン(再生アイコン)をクリックします。設定画面が表示されるので、「Optional settings」を展開して以下の項目を入力します。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| Container name | n8n |
| Host port | 5678 |
| Volume (Host path) | n8n_data |
| Volume (Container path) | /home/node/.n8n |
環境変数(Environment variables)として、以下を追加するとタイムゾーンが日本時間になります。
| Variable | Value |
|---|---|
| GENERIC_TIMEZONE | Asia/Tokyo |
| TZ | Asia/Tokyo |
設定が完了したら「Run」ボタンをクリックします。
Step 3:n8nにアクセス
コンテナが起動したら、ブラウザを開いて以下のURLにアクセスします。
<a href="http://localhost:5678" target="_blank" rel="noopener">http://localhost:5678</a>
n8nのセットアップ画面が表示されます。
アカウントの作成
初回アクセス時に、オーナーアカウントの作成を求められます。以下の情報を入力してください。
- 名前
- メールアドレス
- パスワード
このアカウント情報はローカルに保存されるため、外部に送信されることはありません。ただし、パスワードは忘れないように控えておいてください。
「Next」をクリックして進むと、n8nのダッシュボードが表示されます。これでインストールは完了です。
Step 4(任意):コマンドラインでのインストール
より細かい設定をしたい方や、GUI操作が苦手な方向けに、コマンドラインでのインストール方法も紹介します。
Volumeの作成
ターミナル(Windows: PowerShell、mac: ターミナル)を開き、以下のコマンドを実行します。
docker volume create n8n_data
n8nの起動
以下のコマンドでn8nを起動します。
docker run -d
–name n8n
-p 5678:5678
-e GENERIC_TIMEZONE=”Asia/Tokyo”
-e TZ=”Asia/Tokyo”
-v n8n_data:/home/node/.n8n
–restart unless-stopped
n8nio/n8n
Windowsの場合は、バックスラッシュ()を使わず1行で入力するか、PowerShellでバッククォート(`)に置き換えてください。
docker run -d –name n8n -p 5678:5678 -e GENERIC_TIMEZONE=”Asia/Tokyo” -e TZ=”Asia/Tokyo” -v n8n_data:/home/node/.n8n –restart unless-stopped n8nio/n8n
各オプションの説明
| オプション | 説明 |
|---|---|
| -d | バックグラウンドで実行 |
| –name n8n | コンテナの名前を設定 |
| -p 5678:5678 | ポート5678でアクセス可能にする |
| -e | 環境変数の設定 |
| -v | データの永続化(ボリュームマウント) |
| –restart unless-stopped | PC再起動時に自動で起動 |
n8nの基本操作
インストールが完了したら、簡単なワークフローを作成してみましょう。
最初のワークフロー作成
ダッシュボードの「Create a new workflow」または「+」ボタンをクリックして、新しいワークフローを作成します。
ワークフロー編集画面が開いたら、「+」ボタンをクリックしてノードを追加できます。検索ボックスに「Manual Trigger」と入力し、選択してください。
Manual Triggerは手動でワークフローを実行するためのトリガーです。「Execute Workflow」ボタンをクリックすると、ワークフローが実行されます。
AIエージェントのテスト
n8nはAI機能も搭載しています。ホームページから「Test a simple AI Agent example」を選択すると、AIエージェントのデモワークフローを試せます。
OpenAI APIキーがない場合は、Google Geminiに置き換えることも可能です。Geminiは無料でAPIキーを取得できるため、初心者にもおすすめです。
n8nの停止・起動・アップデート
日常的な操作方法を解説します。
停止方法
Docker Desktopの「Containers」タブから、n8nコンテナの右側にある停止ボタン(■)をクリックします。
コマンドラインの場合は以下を実行します。
docker stop n8n
起動方法
Docker Desktopで停止中のコンテナの右側にある再生ボタン(▶)をクリックします。
コマンドラインの場合は以下を実行します。
docker start n8n
アップデート方法
n8nは頻繁にアップデートされるため、定期的に最新版に更新することをおすすめします。
Docker Desktopの場合は、「Images」タブで「n8nio/n8n」を右クリックし、「Pull」を選択して最新イメージをダウンロードします。その後、既存のコンテナを削除して、新しいコンテナを作成します。
コマンドラインの場合は以下の手順で実行します。
# 最新イメージをダウンロード
docker pull n8nio/n8n
# 既存コンテナを停止・削除
docker stop n8n
docker rm n8n
# 新しいコンテナを起動(Step 4の起動コマンドを再実行)
docker run -d –name n8n -p 5678:5678 -e GENERIC_TIMEZONE=”Asia/Tokyo” -e TZ=”Asia/Tokyo” -v n8n_data:/home/node/.n8n –restart unless-stopped n8nio/n8n
Volumeにデータが保存されているため、コンテナを削除してもワークフローや設定は消えません。
トラブルシューティング
インストール時によくある問題と解決方法をまとめました。
ポート5678が使用中のエラー
「port is already in use」というエラーが表示された場合、すでに5678番ポートを使用しているアプリケーションがあります。
別のポート番号(例:5679)を使用するか、該当のアプリケーションを停止してください。ポートを変更する場合は、起動時に「-p 5679:5678」と指定します。
WSL 2のエラー(Windows)
「WSL 2 installation is incomplete」や「WSL update is required」というエラーが表示された場合、PowerShellを管理者権限で開き、以下のコマンドを実行してください。
wsl –update
その後、PCを再起動してDocker Desktopを起動します。
コンテナが起動しない
Docker Desktopの「Containers」タブでn8nコンテナのログを確認します。コンテナ名をクリックすると、ログが表示されます。
よくある原因として、メモリ不足があります。Docker Desktopの設定(歯車アイコン)から「Resources」を開き、割り当てメモリを増やしてください(4GB以上を推奨)。
データが消えた
Volumeを設定せずにコンテナを削除すると、データが失われます。必ずVolumeを作成し、「-v n8n_data:/home/node/.n8n」オプションを指定してください。
ローカル版の制限事項と対処法
ローカル版には本番運用と比較していくつかの制限があります。
Webhookの制限
ローカル環境では、外部サービスからのWebhookを受け取れません。「localhost」はインターネットからアクセスできないためです。
この制限を回避するには、ngrokやCloudflare Tunnelなどのトンネリングサービスを使用します。これらのサービスは、一時的な公開URLを発行し、外部からのアクセスをローカル環境に転送します。
常時稼働の制限
PCをシャットダウンまたはスリープすると、n8nも停止します。定期実行のワークフローは、PCが起動中でないと動作しません。
常時稼働が必要な場合は、VPSへのセルフホストまたはn8n Cloudの利用を検討してください。
次のステップ
ローカル版でn8nの基本を学んだら、以下のステップに進んでみてください。
- n8nの公式テンプレートを試す:700以上のテンプレートからワークフローをインポートできます
- 外部サービスと連携する:Gmail、Slack、Google Sheetsなど400以上のサービスと接続できます
- AI機能を活用する:ChatGPT、Claude、Geminiなどと連携したワークフローを構築できます
- 本番運用を検討する:VPSへのセルフホストやn8n Cloudへの移行を検討します
よくある質問(FAQ)
Q. ローカル版は完全に無料ですか?
A. はい、ローカル版(Community版)は完全無料です。ワークフロー数や実行回数の制限もありません。ただし、商用サービスとして第三者に提供する場合は、ライセンスの確認が必要です。
Q. Docker以外の方法でインストールできますか?
A. はい、Node.jsとnpmを使ってインストールすることも可能です。ただし、n8nはNode.js v20.19〜v24.xを要求するため、バージョン管理が必要です。Dockerを使う方法が最も簡単で、公式でも推奨されています。
Q. PCのスペックが低くても動きますか?
A. メモリ4GB、デュアルコアCPUがあれば基本的なワークフローは動作します。ただし、複雑なワークフローや大量のデータ処理を行う場合は、より高いスペックが必要です。
Q. ローカル版からVPSやクラウドに移行できますか?
A. はい、ワークフローをエクスポートして、別の環境にインポートできます。ただし、認証情報(Credentials)は暗号化されているため、移行先で再設定が必要な場合があります。
Q. セキュリティは大丈夫ですか?
A. ローカル版はPCの中だけで動作するため、外部からのアクセスはありません。データはすべてPC内に保存されるため、プライバシーの観点では安全です。ただし、ngrokなどで公開する場合は、認証設定などのセキュリティ対策が必要です。
まとめ
この記事では、Docker Desktopを使ったn8nのローカルインストール方法を解説しました。
インストールの流れは以下の通りです。
- Docker Desktopをインストール
- Volumeを作成(データ永続化)
- n8nイメージをPull
- コンテナを起動
- http://localhost:5678 にアクセス
ローカル版は無料でn8nの全機能を試せるため、学習やテストに最適です。まずはシンプルなワークフローから始めて、徐々に複雑な自動化に挑戦してみてください。本格的な運用が必要になったら、VPSへのセルフホストやn8n Cloudへの移行を検討しましょう。

